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スマコト

SIMフリースマートフォンについてのいろいろなコト

ZTE Blade Vec 4G物語「夏の扉」

freetel ZTE

今回の突然のニュースは、当事者の方でさえ状況、経緯、理由を把握するのが難しいようです。ネットに流れている情報を集めて、物語風に記事にしてみました。題名は「夏の扉」です。今回の記事はあくまでもフィクションですので、エンターテイメントとしてお楽しみください。

 

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背景

ZTEのような世界的トップメーカーに取っては、日本のSIMフリー市場は、まだ未成熟である。先行しているLGやHuaweiもSIMフリー市場には懐疑的で、本腰を入れたビジネスになっていない。その一方、日本の携帯端末市場は、寡占化が進んでおり、ほとんどの国内メーカーが撤退を余儀なくされ、SamsungやSonyでさえ苦戦を強いられている。世界では急成長を遂げているZTEであるが、日本市場では、3Gドングルやモバイルルーター、見守りケータイといった本流とは言えない商品に留まっていた。こうした国内メーカーの撤退と、格安SIMフリー市場の萌芽は、海外メーカーへこれまでにはないチャンスをもらたしつつある。いわゆるガラパゴス市場の終焉後の世界である。ZTEは、基本的に無線設備側のビジネスのほうが重要で、大手通信キャリア相手、つまりドコモやソフトバンクなどがターゲット顧客であり、同じNTTといえど、NTTコミュニケーションズや、ましてやレゾナントは彼らの視界にはなかった。しかし市場や他社の動向から、日本の携帯端末市場への門戸が開かれつつあることだけは感じていた。

 

freetelが開けた扉

freetelは焦っていた。同一筐体で3G(Broadcom)とLTE(Qualcomm)を提供できる中国メーカーを見つけ、契約もせずに商品発表をした後に、端末購入の交渉をしていたが、高額な開発費と手付金が用意できずに窮地に陥っていた。ひょんなことからZTEと商談できたのは、彼らに取って渡りに船だった。ZTE社は原価は高いものの、初期費用はほとんど要求されなかったのである。なんの躊躇もなくZTEへ乗り換え、その原価のアップ分は、freetelにしては珍しい販売価格値上げ(27,000円→29,800円)で乗り切ったと思っていた。ここで節約できた初期費用が、後にZTEにレゾナントへの販売を許してしまうことになる。こうしてfreetelの怖いもの知らずで、がむしゃらなベンダー探しは思いがけず、通常ではあり得ないトップメーカーの一社であるZTEに行き着いてしまった。ZTEもOEM部門はあるが、その場合のミニマムロットの要求数量は桁違いである。自社ブランド部門は最小購買ロットの要求は低い代わりに、ZTEブランド又は少なくともダブルブランドが前提である。このためfreetelがBlade Vec 4Gを、自社の名前で出すことは奇跡のようだった。こうしてZTEへのSIMフリー市場参入の扉はfreetelが開いた。

 

レゾナントの悩み

NTTレゾナントは、新規参入が相次ぎ、激化の一途を辿るMVNO事業者間の競争の中で勝ち抜くために、インパクトのある端末を探していた。LGやHuaweiとも話をしたが、すでに複数のMVNO業者や、量販店の手がついており、その中の一社的な扱いだった。どれも3万円越えであり、優先的に供給してもらえるメーカーなどなかった。AsusやXiaomiにも興味があったが、担当者に行き着くこともできなかった。そこにfreetel XMがZTE Blade Vec 4Gベースで進められていることをネットから知ったレゾナントの担当者は、早速ZTEにアプローチをした。ZTEの扉はfreetelのおかげで開いていた。Blade Vec 4Gはfreetelの商談がなければ、国内商品化の予定はなかったものだ。ZTEに取っては、freetelの引き合いで、多少懐疑的に進めていた日本のSIMフリー市場への初投入の商品である。そこにNTTを冠する会社から来た引き合いを断る理由はなかった。コストのかかる日本バンドへの対応や、技適の申請はすでに自社の負担で終えており、レゾナントはZTEブランドでの販売を希望していたからである。

 

ZTEの悠然

正直なところ、ZTEにとっては日本のSIMフリー市場向けの端末はまだ数量的に関心は高くなく、なんの戦略も持っていなかった。実際にfreetelから注文が入り、最近はイオンスマホなどでにぎわっているので、取り組んでいただけである。ZTEにはfreetelを守る気もなければ、騙すつもりもなく、彼ら独自の中国のビジネス感に元づく行動にすぎなかった。今回仕掛けたのはレゾナントである。ZTEがfreetel XM用に準備していた初ロットに割り込み、その中から3,000台を確保した。freetelは自分のためだけに進めてくれていると信じて疑わなかったが、ZTEに取ってみるとfreetelは小売店の一つに過ぎず、ZTEのブランドで購入したい顧客を優先するのに、何の躊躇もなく、裏切ったという感覚もない。初ロットは同じ生産ラインで同時に製造され、同じ船で日本に出荷された。こうしてBlade Vecはfreetel XMと同じ価格でレゾナントに提供されてしまった。freetelは量販店ルートに流すため、販売店マージンを考慮した値付けになっているが、レゾナントはインパクトだけを重視し、ほぼ購入原価で販売することに踏み切った。普通であれば割賦販売を用意し、2年縛りとするところを、ほぼ原価で単品販売し、OCNモバイルONEの加入は任意とした。割賦販売の調整がつかないまま、インパクトだけを重視したあまりに拙速な戦略である。これでは端末だけを購入し、他の音声サービス付きのSIMや、より条件の良いSIMでの利用目的で単品購入するユーザーが多いと思われ、OCNモバイルONEの販促にはあまり貢献せず、早々に見直されるだろう。今回の販売は、後にユーザーに取っては滅多にない福袋だったと言われるしれない。結論づけるのはまだ早いが、結局得をしたのは国内でのコンシューマー向けの知名度が上がったZTEだけとなる可能性が高い。