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UPQ Phone A01が「本来あり得ない理由で」出荷停止

本日の二度目の公式リリースで、さらに衝撃の事実が判明しました。ジェットコースターどころではなく、急転直下の出荷停止です。製造工場に丸投げし、その確認を怠ったのが原因であると説明されていますが、様々な観点から腑に落ちませんので、これを読み解きます。

upq.me

 

電波法及び事業法の認証が未発行

認証書の発行は今回指摘のあったとされる総務省総合通信基盤局が行うものではなく、民間の登録認定機関が発行し、その認定機関から総務省に届け出が行われるものです。今回の登録認定機関は、認定番号からわかる通り、 株式会社認証技術センター(横浜)が担当しています。

認証書発行までのプロセスは、申し込みをした時点で認証番号が仮発行され、そのまま認証が無事終了すれば、それが正式な認証番号になります。UPQの今回の場合は、この申し込みが終了した状態と考えらえます。← いまここ

申し込み後に、実際の端末を用い、登録認定機関自身または第三者のラボが、実際の認定試験を行い、認証の申し込み書類としてまとめます。

登録認定機関が、試験成績書を含む認証申し込み書類を精査し、すべて問題がなければ認証合格となり、その時点で認証書が発行されます。← 通常はここから生産開

それが総務省に届けられて、総務省のサイトに掲載されるのは、随分後のことになり、販売にあたりこれを待つ必要はありません。しかしながら、今回は大幅なフライングが行われたことになります。

正式な認証を前にして製造工場が勝手に出荷していた

前述の通り、登録認定機関は日本の横浜にあるが、それをUPQの仲介なしに、製造工場が直接手配をし、その認証手続きも終了しないうち製造し、発注者であるUPQの許可なく輸出をし、UPQがそれを販売するまで、気がつかなかったという説明です。そこまで拙速に進める製造工場の動機が見えません。UPQはどこまで知らなかったことにするか考えないと、とんでもない説明になっています。発注者の指示なしに、製造メーカーが輸出することなどありえません。

回収後に、正式な認証を受け、正しい番号を記載した上で返送

電波法・事業法の認証は単なる事務手続きではなく、厳格な試験とその審査に基づいており、必ずしもそのままパスするものではなく、途中で修正が余儀なくされます。このため認証が終了する前に、生産に入るということは通常はありえません。

つまり、回収に応じると、この認証が無事に終了するまでは、返送されないことになります。今回、総務省総合通信基盤局からの指摘が入っており、今回の認証は特に厳しく審査されることでしょう。オススメは、次に認証がパスして正式な認証番号を受理したというお知らせを待ってから、回収に応じるか、いっそ返品をするのがいいでしょう。ちなみに3G/LTE通信だけでなく、Wi-FiやBlutetoothも含まれるため、持っていても一切の無線通信は使ってはならない状態ですので、ご注意ください。

 

こうしてSIMフリー業界では恒例の「本来あり得ない理由で」出荷停止となったUPQ Phone A01についてでした。

 

blog.sumakoto.com

 

追記 2015.9.26

DMMより返送のお知らせが来ました。10月上旬を予定しているが、問題が発生すれば遅れるというもので、予想通りです。単にラベルの張り替えではなくなったので、技適が認証されるまではいつ返送できるかわからない状況です。

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つきましては、大変申し訳ございませんが、
該当の商品を一旦回収させて頂きますこと、ご了承ください。
回収いたしました商品は速やかに問題点を修正のうえ、
株式会社UPQより直接お客様にご返送いたします。

現在のところ、お客様への商品返送は10月上旬を予定しておりますが、
問題点の修正状況により、変更される場合もございます 

追記 2015.10.2

昨日、認証完了の通知があったので、無事返送を終えました。ラベルの張り替えで戻って来ましたら、またレビュー再開します。これに合わせたかのようなFREETEL Priori3の発表もありました。仕様と価格設定が、話題のUPQを意識したものになっており、お互いにフライング合戦の様相を呈してきました。

追記 2015.10.4

EngadgetのUPQ贔屓には目を見張るものがあり、しっかり今回の顛末が説明されていました。インタビュー中での、色を塗ってラベルを貼ってるだけではないという主張に関しては、あえてここでは異論は挟みません。

japanese.engadget.com

 

当サイトの役割(自主的)として、今回の各登場機関の役割と、どこで間違いが発生したのかを読み解きます。中澤社長はよく説明できており、偽りはないと思うのですが、完全にD番号で進んでいたのに、外部検査ラボが依頼されてもいない音声端末の試験を終えていたという点は腑に落ちません。またこれがW-CDMAのBand 6が含まれていないことが、今後に禍根を残すことになるでしょう。下記の赤字が直接的なミスと言える点です。

製品発注元: UPQ

1. 製造委託先へ、丸投げで技適付きでの商品供給を依頼した。

2. 輸入された量産品を確認することなく、誤った技適番号のまま購入者へ配送した。

製造委託先: GWI Technology(中国深圳)

1. 日本向けのODM経験がないため、誤ってD分類での申請委託を依頼した。

2. 仮番号(D番号)がもらえた時点で、製造を行い、間違った番号のまま日本へ出荷した。

検査委託先: 認定機関の機能を持たない単なる外部検査ラボ(中国深圳)  

1. 依頼通りに試験を行い、D分類での申請資料を登録認定機関へ提出した。

2. 依頼はD番号(データ端末)であったが、なぜか自主的に音声端末の試験も行っており、速やかに申請資料を修正し、不足の資料を添えて登録認定機関へ再申請した。

登録認定機関: (株)認証技術センター(日本横浜)

1. 認定申し込みのあった時点で、仮番号(但し依頼通りD番号)を発行した。

2. その後、AD番号に変更して欲しいと言われて、資料が足りないと回答した。

3. 修正された書類が提出されると、認証書を発行した。 

総務省総合通信基盤局 

1. UPQが注目を集めていたため、異例の早さで発売日の翌日にはその申請ミスを見つけ、直接指導をした。