スマホがあれば腕時計はいらない
スマホに限らずフィーチャーフォン(ガラケー)の頃から始まった傾向ですが、携帯電話を持ち歩くようになって腕時計をしなくなった方が増えています。こうして2007年以降、腕時計の市場規模は年々縮小しています。この傾向は腕時計に限った話ではなく、スマホにあらゆる機能が統合されてしまい、デジカメ、ハンディカム、カーナビ、携帯ゲーム機、音楽プレイヤーなどの市場が明らかに浸食され、それらの専用電子機器を主業としていた日本メーカーが窮地に陥っているのは周知の事実です。
大型化の進むスマートフォン
初代のiPhoneの3.5インチディスプレイから始まり、Appleは最新のiPhone6でついに大型化に踏み切るまでは、4インチサイズを維持し、電話としての携帯性が重視されていました。大型の画面が必要なユースケースでは、iPad/iPad miniを併用という、製品のセグメント別けも明瞭でした。iPhone6が発売された今でも、4インチの以前のモデルを好むユーザーが多いのも事実です。スマホの大型化には弊害を伴うからです。それに対してAndroidは、iPhoneに対抗する手段として、また供給メーカーが多様なこともあり、大型化はいち早く進みました。
大型化の弊害
初代Galaxy noteが5.3インチで登場した時に、この大きさのスマホで電話をするのは躊躇されるという点が話題になりました。また最近では日常生活でのスマホへの依存度が高まり、一日平均150回スマホをチェックするという統計もあるようです。視認性と操作性の代わりに、携帯性を犠牲にしたスマホの進化に対して、解決策が求められています。
スマホを使うには腕時計が必要になる
スマホが大きくなったため、これを鞄の中から何度も取り出すのが煩雑で、電話を受けるのも不便なため、スマートウォッチという腕時計が発明されました。これにより天気、自宅までの所用時間、メール、Twitter、Facebookなどはスマホを取り出さなくても確認が可能で、電話も手元でかけられるため、スマホを鞄から取り出す頻度が減ってとても便利であるとされています。業界がパラドックスに陥っているようです。
Android Wearスマートウォッチ
Android Wearスマートウォッチは、2014年6月に開催されたGoogleI/Oデベロッパーカンファレンスで発表されたGoogleのウェアラブル技術を具現化した製品のひとつで、各社ほぼ横並びで同じ仕様で商品化されています。どれも1日の使用時間、BluetoothでAndroid4.3以上のスマートフォンとペアリングして利用する必要、価格は2~3万円、単体で利用できる機能は限定的です。これはGoogleのウェアラブル技術に対する研究成果を、Google Glassよりは安価に試すことができる以上の価値を感じません。下記は発表されているスマートウォッチです。
LG G Watch (22,900円)
Qualcomm Sanpdragon400 1.2Ghz/400mhA
Samsung Gear Live(22,000円)
Qualcomm Sanpdragon400 1.2Ghz/300mhA
Motolora Moto360(日本未発売)
TI OMAP3/320mAh
ASUS ZenWatch(WI500Q) (32,184円)
Qualcomm Sanpdragon400 1.2Ghz/369mhA
Googleスマートウォッチ
スマートウォッチは数々の致命的欠点に比べ、それにより得られる利便性が見合わないため、現在での仕様で商業的に成功することはないだろうと思っています。
大きくてバッテリーが持たない
腕時計としてはとても大きいのですが、それでも腕につけなければならないため、搭載できるバッテリー容量が限られており、スマホと同様に毎日充電する必要があります。
スマホ無しでは使えない
あくまでもスマホにペアリングして、スマホの機能を手元で操作するクライアントデバイスに過ぎないため、持ち歩くデバイスが増え、それも毎日充電して準備しなければならないことになります。スマートウォッチだけを持ち出しても、通知はおろか電話をすることもできません。
腕時計の形状は通話に適していない
腕時計の形状から、プライベート空間でのハンズフリー通話ならまだしも、公共の場で通話をする用途には全く向いていません。
価格が高い
プラットフォームがSnapdradon 400クラスというローエンドスマートフォンと同等なため価格もローエンドスマホ並みですが、単体では携帯通信の機能はありません。
小型SIMフリーフォンのすすめ
過去記事でフリーテルのPrioriのレビューで、大型スマホのサブ機としての可能性を掲載しました。このPriori自身はハードウェアとしては古く、仕様に不足があり、ファームウェアも更新されないため低評価でしたが、1万円以下で購入できる小型SIMフリーフォンは、下記の様々な観点から、スマートウォッチが持つ致命的欠点がなく、実際に日常的に大型スマホとの併用において、非常に便利なデバイスであると思います。
すでに同期されている
ペアリングしたり、デバイス間での同期を考える必要なく、Googleアカウントや他のSNSアカウントですでに同期されています。Androidフォンとして設定するだけで、サブ機としての利用が可能です。通知はスマートウォッチよりも的確に得られます。
通話しやすい
そもそも電話機なので通話がしやすいです。SIMカードが搭載でき、単体で持ち歩いても通話が可能です。
スマホ無しで使える
単体で機能するため、気軽に散歩に出かける時などに、メインのスマホを一緒に持ち歩く必要がありません。
価格が安い
端末価格は安く、格安SIMと組み合わせれば、維持コストもリーズナブルに抑えられます。
スマホ2台持ちはそもそも便利
2台は完全に独立して使えるため、チャットしながら地図を調べたり、サイトを見たりといった便利な使い方が自然にできます。片方を紛失したり、故障した場合のバックアップとしても万全です。スマートウォッチとスマホの組み合わせは全く助けになりません。
肯定的なスマートウォッチの見方の記事(参考)
合言葉は「OK Google」:腕時計に話しかけろ――Android Wearが思いがけず楽しいぞ - 誠 Style
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